【イメージストーリー】
こんな経験、キミにもあるんじゃないかな。
パパとママはいつも眉間に皺を寄せている。
運動会のお昼休憩。クラスメイトとそれぞれ自分の家族を探す。
クラスメイトの家族は鉄棒の近くにいた。
お父さんはお母さんに“どんくさいわね~”と言われてニコニコしている。
4歳の妹もクラスメイトとお弁当を食べるのを楽しみにしている。
ジャングルジムの近くにいる僕の家族のところに行く。
パパはキャンプチェアに座ってサングラスをかけている。
ママはレジャーシートの上に直接座って、パパに飲み物を渡している。
僕の家族のところだけ、ピリピリとした空気。さっきまで楽しかったのに、笑えない。
さっさとごはんを食べ終えて、飼育小屋で時間をつぶす。にわとりを散歩させた。
午後の集合時間にクラスメイトが言った。“なんかお前の父ちゃん怖いな”
僕は言った。”家ではおなら魔人だよ”
掃除の時間。クラスメイトの会話に入れなかった。
“あたしのパパとママは中学の同級生なんだよ、中学3年生で付き合って、そのまま結婚したんだって!”
“親父がおかんをナンパしたって言ってた、親父の一目惚れしたんだと。キモイよな。”
みんなお弁当の時間が楽しかったみたいだ。僕は苦しかった。
僕のパパとママはいつも眉間に皺を寄せている。
パパとママになる前は、笑ってたのかな?仲良しだったのかな?僕のせいで疲れてるのかな?
パパもママも悪口を言い合っている。お互いのこと、嫌いなのかな?
僕は仲良くしてほしいのに。
どうして結婚したの?
その日の夜。ごはんを食べながら2人の表情をうかがう。
”80m走1番ですごかったね。”
”上級生の応援合戦はかっこいいね、あんたも5年生になったらやりなよ。”
勇気を出す。
”あのさ、友達と話しててさ、聞きたいことがあるんだけど。”
”なに?”
”どうしてパパとママは結婚したの?”
2人が顔を見合わせる。そして同じタイミングでため息をつく。
ママが社内恋愛だったと教えてくれる。パパから好きになったと言うと食い気味にパパが”お前からだろ。”と修正する。
眉間に皺は寄っていない。2人とも、遠慮がちだけど笑ってる。
聞くのが怖かった。でも聞いてよかった。
家の中がピリピリしてない、懐かしい空気。少しだけあったかい。
「僕」は自分で聞けたけど、ひとりで聞くのはとても怖いよね。
トランプに力を借りてみよう、ひとりじゃない。トランプがきっかけをくれる。
キミの家族が少しでもあたたかくありますように。
そしてキミ自身が、少しでも笑顔でありますように。